私たちは、日常の生活の中で、物を売ったり買ったりしています。

その物の売り買いに伴って発生する、売買上のトラブルの1つとして債務不履行という状況があります。

たとえば、ある物を買ったのに約束の期日に売主側の理由でその物を受け取ることができなくなってしまった。
ものを買ったにもかかわらず、約束した支払い時期に、代金の支払いができなくなってしまった。

このように、物の売買契約をした場合、お互いに相手側に対して契約内容を守る義務(債務という)を負い、その義務を果たさないことを債務不履行といいます。

もっとくだけて言いますと、債務不履行とは約束を果たさないことです。

債務とは?

債務とはお客さんがお店で物を買った時、お店がお客さんに物を提供する義務のことで、逆に、物をお客さんに渡したら「お金を払ってください」という債権が発生します。

お客さんから見ますと「お客さんはお店にお金を払う」という債務があり「お店に物を下さい」という債務が発生します。

不履行とは?

不履行という言葉は調べると、実際に行われないこと、とあります。

債務不履行とは民法415条で次のように書いています。
「債務者が正当な事由がないのに債務の本旨に従った履行をしないこと」

債務の本旨とは、一般に契約に基づいて果たさなければならない義務の本来の目的のことをいいます。

つまり、ごく普通の物の売り買いのことで、お客さんからこの物を買いたいと言えばお店はその物をお客さんに渡し、お金を払ってもらう。

お客さんはお店でその物を買いたいと伝え、物の受け取り、お金を払う。ごくごく当たり前に行われている、売買の状況のことを言います。

民法上の債務不履行とトラブルの対処

現在の民法では、債務不履行を3種類に分類しています。

1、履行が遅れた場合 約束の引渡し時期に間に合わず、遅れて引き渡された。

2、履行ができなくなった 引渡し前に、その物自体が壊れてしまい、修繕もできず、物を引き渡すことが不可能になった。

3、不完全な履行をした場合 物の引渡しは受けたが受け取ったものが不完全であった。10個買ったが、3個は壊れていた場合のこと。

それでは債務不履行のトラブルに対して債権者は何が出来るでしょう。
債権者に出来ることは3種類あります。

1、履行請求権(強制履行)(民法414条1項)
   
2、契約解除(民法541条)契約での債務不履行の場合

3、損害賠償請求(民法415条)

これらは日常起こりうるトラブルです。少しでも対処方法を知識として頭の隅に置いておけば、いざと言う時に、慌てなくてすみます。また、トラブルに巻き込まれたらすぐに弁護士や司法書士などの専門家に相談して、早急に対応することが問題解決への近道となります。