この記事では債務整理のメリットについて詳しく解説していきます。
債務整理は、多重債務に苦しむ人が生活を立て直すことができる救済措置です。様々なメリットがあり、その利用価値は絶大です。
なお、自分の借金が債務整理でどれくらい減るか知りたい場合は、借金減額シミュレーターが便利です。
目次
債務整理とは?
債務整理は、読んで字のごとく、「債務=借金」を整理することです。
抱えている借金の利息カット、減額などをしながら、最終的に完済を目指します。借金の元本が免責となる場合もあります。
債務整理のメリット
債務整理を行うことによって、多重債務の苦しみから解放されることができます。
毎月の返済が間に合わず八方ふさがり、自分ではどうすることもできず思い詰めてしまった時でも、抱えている借金を整理することによって、完済への明るい道が見えてくるわけです。
債務整理をする前には、絶対に払いきれない、どうしてよいかわからない、全てを失う等という絶望感に打ちひしがれていた人でも、無理なく支払える返済額に調整することで、将来に希望をもって生活できるようになるのです。
この効果は、利息カット、債務の減額、または免責など、いくつかの方法によるものです。
債務整理の種類
債務整理には、主に任意整理、民事再生(個人再生)、自己破産の3つがあります。そのほか、特定調停というものもあります。
任意整理
任意整理は、弁護士または司法書士に依頼するだけで実行できる債務整理の方法です。
債務者本人が弁護士や司法書士に依頼すると、弁護士や司法書士が債務者の代理人となって債権者と交渉します。
交渉のポイントは「過払い金による借金の減額」「返済期間中の利息カット」「遅延損害金の免除」です。
これらの交渉により、返済総額の大きな減額の可能性があります。
消費者金融などで不当な高金利で貸し付けがされていた場合には、すでに過払い金が発生していたというケースがあります。
その場合、その過払い金を返済総額の一部にあてること、さらに将来分の利息もカットすることにより、債務残高を減額できる可能性があります。
任意整理のメリット
①裁判所への申し立てが必要がない
任意整理は、裁判所を通さないため比較的手続きが容易です。通常弁護士や司法書士に依頼して手続きを行います。
依頼後は弁護士または司法書士が全て行ってくれるため、本人に煩わしさはありません。
裁判所への提出書類も必要がないため、膨大な時間と手間を省くことができます。
②整理の対象となる債務を選ぶことができる
任意整理では、整理する債務を選ぶことができます。
例えば、保証人がついている債務を債務整理をすると、返済の責任が保証人にいってしまいますので、この債務は整理の対象から外すという選択ができます。
住宅ローンを組んでいる場合は、住宅ローンを整理の対象から外すことにより、家を確保することができます。
住宅ローンも債務整理してしまうと、その住宅は差し押さとなり競売にかけられてしまいます。
③借金の返済が3年から5年で終わる
任意整理の減額がされると、その残高はほぼ3年で完済するよう計画されます。
総額が減額されたことで当然月々の返済額も減り、完済の目途が立つことで精神的な負担が減り、債務者にとって大きなメリットとなるでしょう。
民事再生(個人再生)
民事再生は、裁判所に申し立てをし、債務総額を約1/5に減額する方法です。
この減額した債務は、基本的に3年間で完済するよう再生計画を提出します。
場合によっては、返済期間を5年に延ばすこともできます。
民事再生のメリット
①減額幅が大きい
任意整理と比べると、民事再生では、その減額幅が断然大きいです。
ほとんどの人が利用する小規模個人再生という方法では、債務の総額によって異なってきますが、1/5から1/10まで減額されます。
住宅ローンを除く借金総額 | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 借金全額 |
100万円~500万円未満 | 100万円 |
500万円~1,500万円未満 | 借金額の1/5 |
1,500万円~3,000万円未満 | 300万円 |
3,000万円~5,000万円 | 借金額の1/10 |
②住宅ローンを残すことができる
住宅ローンがある場合、住宅ローンまで債務整理をしてしまうと、住む家を失うこととなってしまいます。
民事再生では住宅ローンを整理の対象外にすることができるので、家は現状のまま残しながら、債務整理をすることができます。
この場合、住宅ローンの返済は今まで通り続いていきます。
③貸金業者からの強制執行がストップする
裁判所に民事再生の申し立てをすると、債権者にその旨が通知されます。
その時点で、取立てはもちろん、仮に給与の差し押さえなど強制執行が実行されていても、その強制執行もストップさせることができます。
取立てや強制執行は、債務者本人にとって経済的にはもちろん、精神的にも大変な負担であり、これらがストップすることは、大きなメリットです。
④借金の内容は問われない
民事再生では、借金の原因が何であったかは問われることがありません。
自己破産では、ギャンブルや浪費など借金の原因によっては免責が下りない場合がありますが、民事再生では問題視されません。
⑤減額された借金は基本的に3年間で完済する
減額された借金は、通常3年間で完済するよう再生計画をたてます。
これまで完済できそうもないと頭を抱えた毎日であったのが、3年間で完済できるめどが立ち、精神的な負担が軽減されます。
⑥職業制限がない
自己破産では、手続き中につくことができる職業に制限がありますが、民事再生では職業制限がないので、警備員や生命保険外交員なども続けることができます。
⑦車を残すことができる
自己破産では、家や車など高価な財産は没収となりますが、民事再生では、ローンが完済されている車は手元に残すことができます。
ローン支払い中の車は、残額を一括支払いするなど、条件によっては残せる可能性があります。
特定調停
特定調停は、裁判所が選定した調停委員を介して債権者との交渉を行い、利息カット、債務総額の減額などについて和解を求めます。
任意整理と似ていますが、違うのは、弁護士や司法書士を代理人として建てる必要がないことで、本人が申請・交渉まで行います。
任意整理を、裁判所を介して行うイメージであり、あくまでも双方の話し合い、そして和解の締結による手段です。
特定調停のメリット
特定調停は、弁護士や司法書士に依頼する必要がなく、本人が申し立てから交渉まで行うことができます。
そのため、弁護士や司法書士に依頼する費用がかからないことが、大きなメリットです。
本人が書類作成から交渉まで行うため、時間や手間など労力はかかりますが、調停委員にわからないことなどは相談することができます。
ただ、調停委員はあくまで中立な調停役ですので、こちらの立場で交渉をしてくれる訳ではありません。
よって、本人が相手側とうまく交渉できない場合は、借金があまり減額できない可能性も高く、任意整理に比べて利用者が少ないのが現状です。
自己破産
自己破産は、裁判所に申し立て、全ての借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
自己破産のメリット
①全ての債務が免責となる
その金額にかかわらず、全ての借金を返す義務がなくなります。(ただし、税金などの非免責債権は除きます。)
今まで、返済に追われ精神的に切羽詰まった状態であっても、自己破産の手続きをすることで人生を一からやり直すチャンスを与えられます。
②生活に最低限必要なものは残される
自己破産をすると、家や車はもちろん、生活必需品まで全ての財産を没収されるというイメージがありますが、そうではありません。
生活するために必要な家財道具や99万円以下の現金など、最低限生活していけるだけの財産は残すことができます。
③貸金業者からの強制執行をストップできる
すでに差し押さえ等の強制執行を受けている場合は、自己破産の手続きを始めることで、強制執行を中断、そして自己破産免責確定により失効させることができます。
慎重に選択を
債務整理のメリットについて述べてきましたが、注意したいことは、「どの債務整理の方法にもデメリットが存在する」ということです。
メリット・デメリットの両方を比較し、慎重に検討する必要があります。
債務整理のデメリットについては下記のページで解説していますので、そちらもご覧ください。
【参考】債務整理のデメリットは?
個々の状況に応じて、最適な債務整理の方法が変わってきますので、安易な判断はせず、まずは専門家と相談することをお勧めします。
まとめ
債務整理のメリットについて解説してきましたが、以下にまとめます。
- ①債務整理すると借金の減額や免責を受けることができ、完済の目途を立てたり、人生をやりなおすチャンスが与えられる。
- ②任意整理は、裁判所を通さないため、手続きが比較的容易。整理する借金を選ぶこともでき、保証人がついている借金などを外すことができる。減額された借金は、ほぼ3年で完済の目途が立つ。
- ③民事再生では、任意整理と比べ減額幅が格段に大きい。債務総額によるが、だいたい1/5ほどに減額できる。住宅ローンは対象から外して、家を確保できる。また、借金の内容は問われず、ギャンブル、浪費などでも問題視されない。
- ④特定調停は、弁護士に依頼する必要がないため、弁護士費用を節約することができる。
- ⑤自己破産は、全ての借金の支払い義務がなくなる。家や車など大きな財産は手放すことになっても、生活に最低限必要な財産は残すことができる。
債務整理は、多重債務で苦しむ人たちを救済するための措置です。
債務整理という言葉によいイメージを抱いていない人が多い中、実はそのメリットはとても大きく、借金の返済に追われて苦しむ毎日から抜け出すための第一歩となることに間違いありません。
ただし、債務整理の方法は複数あり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
個々の状況によってどの方法が最適か、よく調べ、よく検討する必要があります。
なお、どの債務整理方法が自分に合っているかは、債務整理の専門家である弁護士や司法書士の無料相談を利用するのが便利です。
当サイトでは、債務整理を扱う弁護士・司法書士5,200件以上を地域別にまとめていますので、そちらも参考にしてみてください。
また、債務整理の口コミや、評判の高い法律事務所についても紹介しています。
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