いろいろな借入をする際、保証人という言葉を目にする機会が多々あります。
債務整理をすると、ブラックリストにのってしまうことから新たな借り入れができなくなりますが、この保証人についてはどうでしょうか?
結論からいうと、債務整理をした人でも保証人になることは可能です。ただしいくつかのハードルがあります。
また、何らかの事情で保証人を頼まれたというときには、その役割についてしっかり把握しておく必要があります。
今回は、債務整理をした人が保証人になれるのかどうか?、そして保証人になることのリスクも合わせて解説していきます。
目次
保証人になる時も審査される
基本的に、債務整理をすると保証人になることはできません。それは、保証人になるときも、個人信用情報による審査があるからです。
債務整理をすることによって、個人信用情報に金融事故情報が登録されています。いわゆるブラックリストにのっている状態です。
保証人もこの個人信用情報がチェックされますので、ブラックリストにのった状態であると、返済能力が低いと判断され、保証人となることはできないでしょう。
ブラックリストにのる一定期間が過ぎれば保証人になれる
債務整理をすると一生保証人になれないというわけではありません。
債務整理を行って一旦ブラックリストにのったとしても、その状態は一定の期間のみです。
債務整理の内容によってその期間に差はありますが、それを過ぎればブラックリスト状態から解放され、信用も回復されます。
そのため、新規借入はもちろん、保証人になることも可能となります。
社内ブラックに注意
一定の期間が過ぎ、個人信用情報のブラックリストから解放されても、社内ブラックには注意しなければなりません。
これは、債務整理を行った銀行、貸金業者などが、その事故情報を社内情報として保有することです。
たとえば、A社で借り入れた債務を返済できず自己破産した場合、10年たってブラックリストから抜け出しても、その事故情報はA社内では半永久的に保管する可能性があります。
そして新規融資の申し込みがあった時点で、審査のために個人信用情報と併せて社内情報もチェックするのです。
A社としては、過去に返済してもらえなかった人には再び融資をしたくないので、ここで審査が通らないことが多いです。
このように、債務整理をした時に迷惑をかけた会社では、審査が通らないといわれています。
この社内情報は、基本的には会社間で共有されることはないのですが、保証会社などつながりの深い会社間では共有する場合があります。
例えば、プロミスでの社内情報はつながりのある三井住友グループで共有されている可能性が高いです。
保証人でも同様に、個人信用情報と社内情報がチェックされる可能性があるため、過去に債務整理をした金融会社からの借入の保証人は避けた方が賢明です。
保証人のリスクを知ろう
債務整理をすると基本的には保証人になれないことがわかりました。
ここで、保証人とは実際問題どんな立場にあるのか?その責任とリスクも合わせて考えてみましょう。
保証人とは?
保証人は、債務者が返済できなくなった場合に、代わりにその債務の返済義務を負う人です。
その保証人には「連帯保証人」と「保証人」の2種類があります。
「保証人」と「連帯保証人」の違い
①「保証人」の場合
「保証人」の場合、主債務者が抱えていた債務のうち、自分が負担すべき分だけを支払えば、残りの債務の責任を問われることはありません。
保証人が複数いた場合は、総債務額を頭数で割り、その一人分に相当する部分のみ負担すればよいことになっています。
また、「保証人」であれば、債権者からの取立てに対して「主債務者に請求するように」「主債務者の財産から先に差し押さえるように」などと主張する権利があります。
②「連帯保証人」の場合
「連帯保証人」の場合には、主債務者が返済できなくなると同時に、債権者が突然取立てに来ても文句を言う権利がありません。
主債務者に差し押さえできる財産があろうと、取立てできる余地があろうと、主債務者に代わって支払いをしなければならないのです。
また、その金額も、主債務者が背負っていた債務額全額の負担を負うという、大変責任が重い立場にあります。
保証人に返済請求が来るときには一括払い
通常、借入を行う時には、その返済は分割払いにします。しかし月々の返済がきっちり行われず滞納が続いた時には、その時点で残金を一括返済にするという契約がほとんどです。
主債務者が返済不能となったり債務整理をするという時には、すでに滞納が続いていることが多く、さらにその滞納による延滞損害金も高額なものです。
これが突如として保証人に請求され、さらに一括払いを要求されるという相当な負担を負ってしまうのが保証人です。
このような場合、もちろんその返済額が支払える範囲であればよいのですが、どうしても支払えない場合には、その保証人も債務整理をすることになってしまうでしょう。
支払えないからと言って放置しておくと、債権者が裁判を起こし、最悪ケースでは預金・生命保険・家・給料などを差し押さえられることにもなりかねないのです。
一般の人にとっては、保証人・連帯保証人という言葉は聞きなれていながら、実際その違いについて理解しているという人は少ないのではないかと思います。
たとえ「保証人」であっても、その責任は大変重いものなのですが、実はふたを開けてみたら「連帯保証人」であった、知らない間に「連帯保証人」になっていたということもあり得ますので十分な注意が必要です。
実際問題として、保証人というと「連帯保証人」であることが多いです。後で述べますが、事業資金の借入、奨学金、住宅ローンなどほとんどが「連帯保証人」を要求しています。
よく使われるカードローンは?
ところで、お金を借りるという意味で最も身近な存在にカードローンがありますが、カードローンを利用するとき保証人をたてた覚えはないのでは?
カードローンには、銀行系、消費者金融系、信販系がありますが、これらどれをとっても、保証人は要求されません。それは、保証会社の保証を受けているからです。
保証会社の役割
保証会社は、銀行などが融資を行う場合に、まずその融資先、すなわち借主本人の審査を行います。
融資を受けるとき、仮審査という言葉を聞くと思いますが、この保証会社による審査が仮審査です。
仮審査に通ると、銀行自らが本審査を行いますが、保証会社による仮審査が通らなければ、本審査は通りません。
次に、万が一返済が滞った時には、借主の代わりに残高を一括して銀行に支払う代位弁済を行います。
しかし、これにより借主の返済義務が消えるわけではありません。その後はこの保証会社が債権回収を続けていくからです。
このようなことから、銀行や消費者金融などカードローンとして融資を行う会社は、保証会社を利用することで、煩雑な審査にかかる手間を省き、貸し倒れとなるリスクを避けることができます。
利用者側としても保証人や担保を立てるという負担がなくなります。
保証人が必要なケースとは?
それでは、保証人が必要となるケースとはどんなものがあるのか見てみましょう。
①銀行からの大きな借入
銀行から高額の借入を行う場合、保証人が要求されます。例えば、会社を経営している場合などです。
会社が借入を行いたいとき、代表者が連帯保証人として個人保証をしたり、第三者保証人として取引先や知り合いなどに頼む場合などがあります。
②住宅ローン
住宅ローンは家を購入するためのものですから、当然千万円単位の高額なものとなります。そのため、連帯保証人が必要になります。
ただし、最近では保証会社による保証が推奨される場合が増えており、特に土地と家の名義が住宅ローン借主本人と同じ場合には、保証会社を利用するケースが多いです。
土地の名義が借主本人と異なる場合には、保証人が必要となります。
例えば、土地が親名義などという場合には、連帯保証人に土地の所有者を立てることになります。
③未成年のローン
車のローンの中には18歳でも利用できるものがあります。
未成年がローンを組む場合には、連帯保証人が必要となってきます。
これは本人の信用情報に問題があるなしにかかかわらず、その年齢ではどんなローンも契約をすることができません。
こういった場合には、親が連帯保証人となることが一般的です。
④奨学金
奨学金は、学生本人が学費を支払うために借りるお金です。
しかし、上記③同様未成年であることから、連帯保証人が必要となります。
この場合も親が連帯保証人となることが一般的で、親がなれない場合には親族に頼むことになるでしょう。
ただし最近では、保証会社の利用も普及しており、保証人なしでも奨学金を借りることは可能になっています。
賃貸契約の連帯保証人は特殊
上記で、未成年のローンについて触れましたが、学生の方がアパートなど賃貸契約を交わすときも、連帯保証人が必要となってきます。
通常、親がその連帯保証人となりますが、もしも親が債務整理をしていたらどうでしょうか?
基本的には連帯保証人になることができる
実は、賃貸契約上の連帯保証人と、お金を借りるときの連帯保証人では少々意味合いが異なります。
お金を借り入れるための保証人になるときには、個人信用情報が照会されますね。
そこで事故情報が登録されていれば、返済能力を疑われて保証人にはなることができないとお話ししました。
ここでのポイントは、「個人信用情報を照会できるのは、信用情報機関に加盟している金融機関や貸金業者、または本人のみ」ということです。
賃貸契約を結ぶ時、契約相手は不動産業者や大家さんです。
不動産業者や大家は信用情報機関の会員ではありません。つまり、個人信用情報を照会することができません。
したがって、連帯保証人となる人が債務整理をしているかどうか、ブラックリスト状態かどうかを知ることはできないのです。
このようなことから、基本的に、債務整理をしていても賃貸契約の連帯保証人になることは可能といえます。
家賃がクレジットカード払い
最近は、家賃のクレジットカード払いOKという物件が増えてきました。
信販会社を利用して自動引き落としとする契約も多いです。
毎月家賃を振り込む手間が省け便利でありがたいことなのですが、この場合は連帯保証人について気を付けなければなりません。
クレジットカード払いあるいは、ライフなどの信販会社を通しての引き落としの場合は、契約のための審査があります。
クレジットカード会社や信販会社は、その審査のために個人信用情報を照会することになります。
同時に連帯保証人となる人の信用情報も確認するでしょう。
個人信用情報に事故情報が登録されていれば、当然審査に通らず、連帯保証人になることはできません。
賃貸物件の中にはまだまだクレジット会社を通さない物件がたくさんあります。
直接大家さんに家賃を支払ったり、不動産会社を仲介するだけであれば、個人信用情報を照会されることはないので、そのような物件を探すようにしましょう。
まとめ
債務整理をした人は、保証人になれるかどうかについて、解説してきました。
債務整理をしていても、一定期間が過ぎブラックリストにのった状態から解放されていれば、保証人になることができるとわかりました。
ただし社内ブラック情報があるので、債務整理をした会社関係は避けるべきでしょう。
また、賃貸契約における連帯保証人については、ブラックリストは関係なくいつでも可能です。
ただし、家賃がクレジットカード払いや信販会社を通した引き落としの場合は、ブラックリストをチェックされてしまうので、難しいといえます。
保証人も連帯保証人も、それを引き受けることには大きなリスクをはらんでおり、突然多大な借金の返済義務を背負わされる可能性があります。
自分の子供の奨学金の連帯保証人はいたしかたありませんが、知人、友人であっても、第三者の連帯保証人もしくは保証人となることは極力避けることが賢明ではないでしょうか。
逆に、第三者に保証人となることを頼む場合にも、万が一の場合には、その人の人生を狂わせてしまう可能性があるということを頭においておかなければなりません。
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