妻や夫・親に内緒でカードローンや消費者金融から借りてしまった、結婚前に作った借金を内緒にしていたなど、家族や同居人に隠れて借金をしているケースはよくあります。
このような場合、家族に絶対バレることがないように債務整理をしたいと思うでしょう。
また、会社にばれると仕事が続けられないのではないかという不安もあるでしょう。
債務整理にはいくつかの方法があり、中には家族に知られずにできる可能性がある方法もあります。
今回は、債務整理が家族や会社に内緒でできるかどうか解説していきます。
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目次
家族に知られたくなければ、任意整理が一番
債務整理には、任意整理、民事再生、自己破産、特定調停などの方法がありますが、家族にバレることを避けたければ任意整理が一番の候補になります。
弁護士や司法書士が全ての交渉・手続きを行う
任意整理を行う場合、たいていの場合は弁護士か司法書士に依頼し手続きを進めます。
債務整理を行うと債権者とのやりとりや書類が大変多く、もしもこれが全て自宅へ届くとすれば、簡単に家族に知られてしまうでしょう。
しかし、弁護士や司法書士に依頼すると、弁護士が一括窓口となり債権者との交渉などをすべて行うため、債務者本人の自宅に債権者から通知や連絡がくることがありません。
また、任意整理は裁判所を通さないため、民事再生や自己破産のように裁判所から本人宛に通知が届くということもないのが特徴です。
任意整理の手続きにからむ本人宛の通知や電話は自宅に来ないので、家族に知られる可能性が大変低いです。
弁護士や司法書士が本人に連絡する必要があるときには、あらかじめ家族に知られたくない旨を伝えておけば、携帯電話に連絡するなど配慮してくれるでしょう。
債権者からの督促がストップ
家族が借金問題を知るきっかけの一つに、債権者からの督促があります。
電話や督促状などにより、ひょっとして?と気づくこともあるでしょう。
弁護士や司法書士に依頼すると、弁護士や司法書士は債権者に受任通知を送ります。
すると債権者は本人宛の督促の電話や通知をすることができなくなるので、家族に知られるきっかけも大幅に減ることになります。
手続きがシンプルで短期間
任意整理では、弁護士が債務者と債権者の間に立ち和解を導きます。
通常、和解が成立するまで3か月~6か月ほどと言われ、民事再生や自己破産と比べて手続き期間が短いため、それだけ家族に知られるリスクも少なくてすむでしょう。
民事再生と自己破産を家族に内緒で行うことは難しい
民事再生と自己破産は、裁判所を通じた法的手続きです。
減額幅が大きいため、その分厳格な調査、証明に基づいた手続きが必要で、詳細な書類の提出が求められます。
例えば、収入と支出のバランスを見るために提出する家計収支表。住居費、食費、光熱費、娯楽費などの細かい内容と金額や、家族の給与明細の提出も求められます。
こういった書類を集めるだけでも、家族の協力が必要不可欠といえるでしょう。
さらに、自己破産では、99万円を超える現金と原則として20万円を超える財産は処分されてしまいます。
必要最低限の家財道具は残すことができるにしても、破産手続きを行ったことを隠し通すのは大変困難ではないでしょうか。
また、民事再生や自己破産を考えた時点で、すでに債務超過という大変な事態に陥っている場合が多いです。
隠し通すよりも、家族の協力を得て今後どうするかを話し合うことで、良い方向へ向かうという考え方もあります。
家族はすでに知っているのでは?
債務者本人は隠しているつもりでも、実は家族はすでに勘づいているかもしれません。
おこずかいの範囲内を超えた派手な生活ぶりや、自由なお金はあるはずなのにさらに小遣いを要求する等の姿を見た時、家族だからこそ気が付いてしまうこともあります。
督促の電話によりストレスを感じている姿を見て、あれ?と思うかもしれません。
気づいていながらも怖くて聞くことができない、どう話を切りだしてよいかわからないというだけで、心の中ではとても心配している場合が多くあります。
会社には知られてしまうのか?
債務整理をしたことが勤務先に知られてしまうのかと懸念する人も多いでしょう。
結論から言うと、債務整理をしたことが勤務先に知られる可能性は低いです。
任意整理はほぼ安心
任意整理においては、先で述べた通り、弁護士や司法書士が窓口となってすべての手続きを行います。そのため、任意整理に関わる書類が自宅や勤務先へ届くことがなく、そこから知られてしまうという心配はありません。
また、任意整理後に個人信用情報に記録される事故情報は、一般企業が照会することはできません。
万が一、勤務先が銀行など金融関係であっても、個人情報は「返済または支払い能力を調査する目的のみに使用する」こととなっていますので、ローン審査などでない限りは照会することはないでしょう。
加えて、任意整理の場合は官報に載ることもなく、勤務先が従業員の債務整理の履歴を知る機会は限りなくゼロに近いといえます。
民事再生や自己破産の場合
民事再生(個人再生)や自己破産の場合も、通常であれば勤務先に知られる可能性は高くはありません。
ただし、以下のような場合は要注意です。
会社関係からの借入があるとき
民事再生と自己破産では、全ての債務を一括整理するため、会社関係のみ対象から外すことはできません。
つまり会社関係から借入をしている場合、他の債権者と同じように裁判所から通知が届き、債務整理の事実を知られてしまいます。
会社関係とは以下のような場合です。
- 会社、上司、同僚から直接借入
- 共済組合からローンなどを借入(公務員)
- 会社の労働組合を通して労金から借入
退職金見込額証明書の発行
会社員が民事再生または自己破産をするときには、裁判所から退職金見込額証明の提出を求められます。
これは、今仮に会社を辞めた場合に受け取れる退職金の見込み額の証明です。
この退職金見込額証明書を発行する機会は会社側としても滅多になく、何に使うのか?と疑問をもたれ、使用理由を説明しなければならないこともあるようです。
裁判所によっては、この辺りを考慮してくれる場合もあるようです。
また、会社の就業規則に退職金支給規定が定められている場合には、それをもとに自分で計算して、計算書を提出するという方法もあります。
弁護士事務所や司法書士事務所でも対応可能な場合があります。
自己破産では職業制限がある
自己破産の場合には、破産手続き開始から免責決定までの数か月間、一定の職業制限があります。
弁護士や税理士などの士業、会社役員など公的職業が中心で、その資格の登録を取り消す形になります。
一般のサラリーマンとして影響が考えられるものとしては、生命保険募集人や警備員などが挙げられます。
免責が確定すると自動的に復権され、またその職種につくことはできるのですが、この数か月間の対応を考えなければなりません。
このような職種の場合は、自己申告をしなくても会社側が何らかの形でその情報を入手する可能性もあります。
それぞれの職業が細かな規定を設けているので、専門家とよく相談の上、適切な対応をとる必要があります。
官報への掲載
民事再生または自己破産をすると、その情報が官報に掲載されます。
一般企業が官報を毎日チェックすることは考えにくく、ここから民事再生、自己破産した事実が勤務先に知れるという可能性はあまりないでしょう。
ただ、職業制限対象である職種の保険会社などは、官報情報を社内データとして保有することがあります。
保険会社や金融機関向けに官報の検索サービスなどを提供する業者もあり、保険会社などに勤めている場合は、民事再生や自己破産の事実が分かってしまう可能性は、ゼロとは言い切れないのが実状です。
まとめ
債務整理を家族や会社に内緒で行うことができるのか解説してきました。
まとめると以下のようになります。
1.家族・会社とも知られずに債務整理を行うには、弁護士か司法書士が窓口となり、裁判所を通さない任意整理がベストな方法。
2.民事再生・自己破産は、裁判所を通した法的手続きであり減額幅も大きいことから、裁判所への厳格な書類の提出が必要。その中には詳細な家計収支、家族の給与明細も含まれ、家族の協力が必要不可欠。裁判所からの通知も本人宅へ届くため、家族に知られてしまう可能性が高い。
3.民事再生・自己破産は、通常は会社に知られる可能性は少ないがゼロとは言い切れない。その理由として、①会社関係からの借入がある場合、②退職金見込額証明書の発行、③職業制限のある職種についていた場合、④官報に掲載される情報、があげられる。
なお、家族や会社にバレないかも含めて、どの債務整理の方法が自分に合っているかは、専門家である弁護士や司法書士の無料相談を利用するのが便利です。
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